学力向上タイトル 言語活動の充実 ここにあり  

千里 九「1575年長篠の合戦、思い出すのう。武田軍は遠征軍、織田徳川連合軍は陣城を築いて、そこに真っ向から攻めてくる武田軍をコテンパンにやっつけたんじゃ。見事じゃった。防御は最大の攻撃。この戦法は武田が攻めてこなけけりゃ意味が無い。武田勝頼の心理を読んだ信長の言語活動の充実が勝利をもたらしたのじゃ。あっぱれ。」

  うたあわせ~雅(みやび)な授業 国語~  

 "elegance"

 今、3年生の国語では雅な授業が、舌戦がくりひろげられています。「歌合(うたあわせ)」です。歌合とは、和歌の優劣を競う雅な遊びです。

 中学三年生が「和歌」を学習する方法としては、いくつかあります。受け身でただ授業を聞く。ノートに写す。あじわいつつ覚える。調べ学習をして発表する・・・。もっと能動的に和歌の持つ魅力に近づけないか!と国語科の先生が考えていたところ、大学での実践からヒントをいただきました。それを中学生向けにアレンジして行うことにしたのが、「歌合(うたあわせ)」です。

教室の机が、東西の陣営(右方・左方)にわかれた。

  東西冷戦は、1990年のドイツ再統一、91年のソ連の崩壊で終結したが、3年のクラスは熱く火花を散らすべく東西熱戦が開始された。まず、教科書に載っている和歌から、お気に入りの六首を選び、班ごとに分かれる。

「ちはやぶる神世も聞かずたつた河韓紅に水くくるとは(在原業平)」神様もびっくりだぜ。神様が聞いたこともないくらい、川の水が紅葉で真っ赤になっちゃたぞ。

「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふ物は頼みそめてき(小野小町)」夢に恋しいあの人がでてきてこんにちは。また、夢のなかにでてきてくれないかしら。

 在原業平は、伊勢物語の主人公と言われる和歌の名手、女性の心をわしづかみにする天才。小野小町は、『古今和歌集』の歌人で恋愛歌にすぐれ、楊貴妃、クレオパトラとならぶ日本を代表する世界三大美女のひとり。そのふたりが詠んだ句の勝負!どの班が勝ってもおかしくない。

対戦開始

 まず、講師(こうじ)が和歌を朗詠する。大きな声で朗々と詠む人ありわらのなりひら。節をつけ、中には和歌に合わせて振りをつける生徒がいる!さすが九中生。次に、念人(おもいびと)が、和歌の解説をしていく。事前に配付したプリントだけでなく、自主的に調べてきた人もいるようだ。双方の質疑応答が始まる。うたあわせ2

 相手に質問を投げかけ、自陣の歌を有利な立場に持ち込むことが、判者(はんじゃ)の印象を良くする。教科担当糠野Tが敵に塩をおくることはなかったがアドバイスをおくる。先生「攻撃は最大の防御やで」相手方の和歌を調べてきて鋭いツッコミを入れる生徒A「和歌の魅力を語ってください。」「小野小町の歌の夢とはどんな夢ですか?」答える生徒B「寝ている時の夢です」一同「おお~」。見事なあたりまえ体操防御だった。「恋しき人は、誰ですか?」これはいいボディブローだ。「・・・・」さぁ、どうする、どうする答えられないか!右方?「ち~ん」。もちろん電子レンジの音ではなかった。(糠野Tが、答えられないときに使うチン。議論が炎上したときにもなる)「ちん」。(下写真)ダメージが右方にあたえられた。続いて・・・。

 ベル最後に、司会も兼ねていた判者(はんじゃ)が、協議の上、判定をくだす。「ただ今の勝負、左方のほうが細かく調べ・・・ということで左方の勝ちとします」やはり、攻撃は最大の防御だった。最初にリードした方が強かった。多くの班が印象だけでなく、きっちりと根拠を話し合い、そして最終的に一つの意見にまとめていた。短い時間で意見を交流しまとめ関心をもつ雅な姿に糠野・鈴木T、感心しきり。

 「歌合」(うたあわせ)で、九中生は力あわせ、またひとつ学力を向上させていった。相手がいる双方向な授業は、言語活動の充実につながる。調べて考えを蓄えなければならん。相手の手を読まねばならん。こうして発表する力をつけていく~九中生~これからの人生の血となり肉となる授業だった。  

攻撃は最大の防御なり。

山縣有朋