学力向上タイトル 「厚生労働省 分別ないサンプル調査

千里 九「九中ではチャイム着席率のサンプル調査をしても、ほぼ100%チャイム着席だ(ありたい)。」

2019年2月14日 

 学ぶ&考える

 数学 標本調査

数学:2月14日3限(写真1)

数学:4人班による協働学習 (写真2)

数学:母集団の傾向を推測(写真3)

 チャイムの前に校歌が流れるようになった翌日、2月14日(木)は世間ではバレンタインデーでした。学校にはもちろんお菓子を持ってきてはいけませんが、3年某クラスの日めくりカレンダー(写真1)は味わいが・・・「甘いもの食べて勉強をがんばろー!!」です。しかし、実践数学、「標本調査(下写真)」は甘くはありませんでした。標本調査

 厚生労働省:問題となった”サンプル調査”

 水曜日から全クラスチャイム着席を目指すべく(ほぼ出来ているのだが)、チャイム前に校歌の一番が流れるようになった。たたたーん♪木曜日の3限である。3年某クラスの人たちは廊下に出ていたがハミングしながら教室に入った。追いかけるように数学科担当者が入室する。きんこーん。生徒達はチャイム着席を完了だ。さぁ、授業の単元は《8章 標本(サンプル)調査》である。折りも折り、厚生労働省がとりまとめている統計で、不正調査が発覚し、大きな社会問題となっていた。ルールでは従業員500人以上の事業所については、サンプル調査ではなく全数調査が義務付けられていたにも関わらずサンプル調査をおこなっていたのだった。これは使える。

 実践数学問題にする”標本(サンプル)調査”

 これは使える、しめた。ドアを閉めた数学科担当者が思うのも無理からぬことであった。授業「※標本調査」の導入として不正調査を話題にすれば”つかみ”はいけるはず。だが、生徒達は入試でニュースどころではなかったのかこの事件を知っていた生徒は少なかった。残念。甘くはない。気を取り直して事件の概要を伝えた。「今回の不正の根幹部分は、全数調査すべきところを標本調査をして補正せずに放置したことによる。じゃあ標本調査はいけないのか?いや標本調査は一般的におこなわれている。だから補正作業を行えば近い数字が得られる。この章では一部の資料の特徴から全体の傾向を調べる方法を学ぼう。」TVの視聴率調査を皮切りに、内閣支持率の調査、蛍光灯の寿命調査・・・など、それぞれの調査は「全数調査」「標本調査」のどちらが適切かどうかを考える。大事なのは結論に至るまでのプロセスだ。各班の結論とその理由を発表していく。たとえ結論が正しくても、プロセスが明確に表現できないとわかったとは言わない。※サンプル調査を数学では”標本調査”と呼ぶ。

 今日の授業ではより具体的に「標本調査」に切り込んだ。標本をどのように取り出せば、母集団の傾向を推測することができるか、前時と同じように4人班で推察していく(写真2)。教科書の例(写真3)から、白球と黒球が良く混ざっている箱と良く混ざっていない箱から、適当にすくい出した標本の割合が、全体の割合と比べてどうなるかを考えた。生徒「すくい方は決まっていますか?」鋭い質問だ。「大切なポイントです。決まっていません。」この質問一つで生徒たちの意見が動き始めた。「どんなすくい方でも・・・」「すくい方が浅かったら・・・」「すくい方が深かったら・・・」一つの結論へと向かっていく。何度も言うようだがどんな結論が出ようと大事なのはその結論に至るプロセスだと、担当者は力説する。数学は甘くない。

 担当者「生徒たちは活動のなかから、最終的に偏りなく標本を取り出す、つまり”標本調査”においては、”無作為に抽出する”のが必要であることを学びます。それを導き出すような学習活動ができていれば、授業としては成功です。」

 あれ(サンプル)とこれ(全体) 風さわやかに分別す