学力向上タイトル 「使える美術」・・彫刻刀 手先動かし 学力向上  

千里 九「2015年の恵方は「西南西」である。西南せ・・までくれば、明治政府に対して、西郷隆盛が不平士族を引き連れておこした1877年の西南戦争であるのは、人口に膾炙している事実である。」

木彫レリーフ2

美術1

 美術3

レタリング(写真1)

彫刻刀の技法(写真2)

木彫(石目彫り) (写真3)

 美術1 ~ 言葉を刻む ~ 

 2月3日は節分の日です。冬が終わり立春(暦の上では春)となるその前日に春の訪れを喜ぶ行事ですが、C棟2階どんつき美術室はまだまだ寒いです。太治T(美術科)が、彫刻刀をにぎり目を輝かせ・・。今日は火曜ですが、サスペンス劇場ではありません。今日1限目は、1年6組、彫刻刀であったかい言葉を刻む時間でした。確実に春が近づいています。

 牛に引かれて・・・ いきなりだが、問題である。牛に引かれて(   )。どこだ?答えは(善光寺)だ。意味は、他人の誘いや思いがけない偶然で、よい方面に導かれることのたとえに使われる。突然だが、太治Tがファンだった健さんのエピソードを紹介しよう。健さんは、1959年から30年余も善光寺参りを続けたのだった。節分の豆まきの仕事が縁で毎年、参拝客として節分に訪れるようになった。有名になると、深夜ひそかに参拝を続けた。映画のロケの時など遠くにいても万障繰り合わせて駆け付けた。30年目はニューヨークでロケ中だったが、監督や共演者に頭を下げ、飛行機で日本へとんぼ返りし善光寺へ駆け付けたという。(参考:週間長野)健さんは善光寺に導かれ銀幕のスターとなった。美術の時間もしかり。生徒達をよい方面に導いていくのが木彫りレリーフなのだ。

 木彫りレリーフ 言葉を刻む前編では、「手間暇かけてつくるレタリングには、心が宿ると信じ授業をしています。」と健さんのお話を引用した。レタリングの文字も、こちらから与えるのではない。自分を勇気づけてくれる視点から好きな四字熟語を生徒達が選ぶ。「一期一会」「一致団結」「心機一転」「正々堂々」「危機一髪」「日進月歩」なるほどなの熟語を、1年生は選んだ。「五里霧中写真1)」まである。物事の様子や手掛かりがつかめず、方針や見込みが立たないことなのだが、大丈夫。君はもう、この言葉を選んだ時点で方針がたっている。で、いよいよ木彫りでレリーフにしていく。彫り方は2種類(写真2)。切り出しと石目彫り(写真3)である。

 切り出しは、文字の輪郭を彫る(写真左上)。石目彫りは、先が丸い彫刻刀で彫るのだが、彫った形がお城の石垣のように見えるので、こう呼ばれる。まず、文字の回りを仕切る。仕切ってから、石目彫りで、文字の回りを彫り浮きだたせるのだ。 掘るところを間違えれば元も子もない。太治Tは、机間巡視をし、確認をする。最も注意をすることがある。「彫刻刀の前に手を置かない」だ。ともすれば、彫ることに夢中になるあまり、木を押さえる左手が、彫刻刀の前にいく。彫刻刀を持つ手が、勢いあまって滑れば・・・。血をみることになる。痛い思いをして、「彫刻刀の前に手を置かない」ことを学んで欲しくない。だから、何度も注意を呼びかける。

 太治T「紙の上に書く作業とは違い、彫って残すから形は消えません。消えないから言葉を真剣に選び、選んだら迷いなく彫ることだけに集中できます。『単純なことを完璧に行う忍耐力を持つ人だけが、困難なことを簡単に行うスキルを獲得できる』健さんの言葉ではありませんが、私が深く心に刻んでいる言葉です。」

彫刻刀の前に手を置かない 教科担当