校長の特別授業「本川をつたえて」=6年生といっしょに平和を考える=
元広島市立本川小学校長の奥原球喜先生をお招きして、今年も6年生の子どもたちといっしょに平和について考える授業を計画していました。しかしながら、奥原先生が体調を崩され入院されたため、急遽、私にこの授業を託されました。
私は広島県出身。曽祖父は被爆直後に広島に入り救護活動や復旧作業に携わったことから被爆者手帳を持っていました。小学生時代に曽祖父から戦争や原爆の惨状を聞き、ヒロシマを学んできました。そのことを知っている奥原先生は、この授業を私に託してくださったのだと思います。
授業では、奥原先生が描いた絵本『本川をつたえて』の絵を大型モニターにうつしながら、子どもたちに読み聞かせを行いました。この絵本『本川をつたえて』は、爆心地からわずか350メートルにあった当時の本川国民学校、今の広島市立本川小学校で、約400人いた児童の中で唯一生き延びた居森清子さんの被爆体験とその後の人生が描かれています。主人公の居森さんは、原爆で両親と弟の家族全員を失い、被爆者に対する差別に苦しみながらも結婚し、小学校などを回って被爆体験を語り継ぐ活動を、亡くなる2年前の80歳まで続けました。
読み聞かせの後、戦争・核の怖さ、平和とは、清子の生き方、生きる意味(何のためにいきるのか)、被爆者に対する差別、いじめと戦争、「伝える」ことの大事さ、平和を実現するためには等、子どもたちなりの考えを出し合い話し合いました。子どもたちは、絵本に込められた思いを自分なりに考え、自分の言葉で交流し合うことができました。子どもたちが感じた気持ちを否定せずに受け止めながら進めたので、活発に考えを出し合うことができました。
授業の終盤、子どもたちに「平和って本当につくることができるのでしょうか? どうやったらできるのでしょうか?」と問いかけました。
そして、「広島へ修学旅行に行ったら、たくさんの思いや気持ちが詰まった原爆ドームと自分だけのお話をしてほしい」と語りました。原爆の象徴であるドームと2人だけのお話をして、気持ちを伝え合ってみてほしい。原爆ドームの悲しみや怒り、願いなどに思いをはせてほしい。」と子どもたちに語りました。
ヒロシマへの修学旅行で、子どもたちは何を感じ、どんなことを考えたのか。修学旅行が終わってから、また子どもたちと語り合いたいです。
参考
中国新聞デジタル「本川国民学校で被爆 助かった女性の体験を絵本に 児童に読み聞かせ【広島】」(2022年9月18日)
中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター「居森さん体験 絵本に 本川小で被爆 唯一の生存児童 6年生に読み聞かせ」(2022年9月9日)