『本川をつたえて』と題されたこの絵本は、爆心地からわずか350メートルにあった当時の本川国民学校、今の広島市立本川小学校で、約400人いた児童の中で唯一生き延びた居森清子さんの被爆体験とその後の人生が描かれています。

主人公の居森さんは、原爆で両親と弟の家族全員を失い、被爆者に対する差別に苦しみながらも結婚し、小学校などを回って被爆体験を語り継ぐ活動を、亡くなる2年前の80歳まで続けました。

5月25日(木曜)、本川小学校の元校長で、この絵本を書いた奥原球喜さんに来校していただきました。広島市以外での授業は、本校が初めてです。

スクリーンに絵をうつしながら、作者の奥原さんが子どもたちに絵本の読み聞かせを行いまいた。読み聞かせの後、戦争・核の怖さ、平和とは、清子の生き方、生きる意味(何のためにいきるのか)、いじめと戦争について、「伝える」ことの大事さ、平和を実現するためには等、子どもたちなりの考えを出し合い話し合いました。子どもたちは、絵本に込められた思いを考えていました。

奥原さんの「平和って本当につくることができるのでしょうか? どうやったらできるのでしょうか?」という問いかけは、広島への修学旅行に向けて、そして、これからの人生において考えていく問いになりました。

そして、奥原さんから子どもたちへ、「広島へ修学旅行に行ったら、たくさんの思いや気持ちが詰まった原爆ドームと自分だけのお話をしてほしい」とありました。原爆の象徴であるドームと2人だけのお話をして、気持ちを伝え合ってみてほしい。原爆ドームの悲しみや怒り、願いなどに思いをはせてほしいとのことでした。その言葉を胸に広島への修学旅行に取り組んでいきます。

※絵本の表紙は作者の許諾を得て掲載しています。

(参考)

NHK 広島 NEWS WEB「被爆体験を語り継ぐ」女性の絵本贈呈

中国新聞デジタル「本川国民学校で被爆 助かった女性の体験を絵本に 児童に読み聞かせ【広島】

中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター「居森さん体験 絵本に 本川小で被爆 唯一の生存児童 6年生に読み聞かせ」