3学期はスマートスクール担当が中心となり各学年の教員と協働しながら、各学年におけるICTを活用した個別最適な学びの実現を目指しています。1年生は2学期に国語や生活の学習において、ムービーを作る活動・プログラミングを活用してお話をつくる活動に取り組みました。(※1)

 3学期はコマどりアニメーションをつくることができるアプリKOMA KOMA(※2)を活用して、「消しゴムのお話ムービーをつくろう!」という学習活動を設定しました。

 学習のはじめにムービーを作る上での条件を示しました。

 ①つくるお話には、人の顔・身体は登場しません。(肖像権について1年生に分かるように説明したところよく理解していました。)

 ②つくるお話は、他の人が見て喜ぶものです。(暴力的なものはいけませんと伝えると、「分かっているよ!」という反応でした。)

 ③つくるお話に、必ず消しゴムを登場させましょう。消しゴムが「中心人物」「主人公」です。(国語の物語文の学習で学んだ中心人物を思い浮かべながら聞いていました。)

 また2年生の「はこのかたち」の学習と同様に(※3)、「だれと学ぶか」「1人で学ぶか」を低学年段階から、学習の条件に応じて選択・決定できる力を養いたいとねらい、学習形態についても次のように伝えました。

 ④何を使うか、あなたが選んでください。(内容の選択・決定)

 ⑤どこの場所で撮るか、あなたが選んでください。(場所の選択・決定)

 ⑥だれといっしょに撮るか、1人で撮るか、作りたいムービーのために、あなたが選んでください。(学ぶ相手の選択・決定)

 学習がはじまると、児童は消しゴムと何を使うか、どこで撮るかを嬉しそうに考えはじめます。1人でじっくり、多くのムービーを作りたい児童は、じっと集中して考えながら撮影をしています。また似たようなテーマでムービーを作りたい児童は、2人組になり、粘土や粘土板を共同で使って撮影していました。今あるもので何ができるかを、よく考えて取り組んでいるのが素晴らしいですね。

 また教室の他の場所に目を移すと、会社の企画会議のような話し合いを行っているグループもあります。使いたい道具を出し合って、どこからどの順番で撮るとお話になるか、盛んに話し合っています。撮影の段階になると、1人が道具を少し動かす(コマ撮り動画のため少しずつ動かすのがポイントです。)、1人が撮影してから交代して撮影するなど、作業の効率化を自然に行っている児童らもいました。6歳・7歳の児童どうしが合意形成をする小集団や、効率を上げるために共同で作業する小集団を、自然に作っているのを見て、非常に感心しました。

 ムービーを作り終えた児童から、KOMA KOMAアプリ内に保存されたムービーを変換して、ファイルにダウンロードし、MicrosoftTeamsの所定のチャネルに投稿していきます。タブレットやPCを使って「保存・共有」ができることは、これからの社会を生きる上で必要な情報活用能力です

 1年間の1人1台端末活用の積み重ねにより、1年生もスムーズに行うことができていました。アップロードする前の動画を入念に確認したり、アップロードする「消しゴムムービー」を嬉しそうに鑑賞したりする児童の姿が見られました。ムービーのタイトルも「けしごむたくはいびん」「ぎりぎりセーフ」など、内容に合わせて短くつけているのが素敵でした。

 学習形態の選択(誰と学ぶか、1人で学ぶか等)は、1年生には少し難しいかと教員の側は考えていましたが、1年生だからこそ教員の願いをストレートに感じ取ってくれました。自然な学習の流れの中で、1人でムービーを作りたい児童は嬉しそうに1人で学びを進め、1人ではできないと感じるムービーは友だちと協働して学びを進めている姿にとても驚きました。私たち教員の仕事は、日々子どもたちに教えてもらうことが多いものです。今回の1年生児童の学ぶ姿を参考に、学習形態にも選択・決定がある子ども主体の授業づくりを少しずつ、一歩ずつ進めていけたらと感じる取組みになりました。

 ※1:2学期の★1年生のプログラミングによるお話づくり(スマートスクールページ)の取組みです。

 ※2:★今回の取組みで使用したKOMA KOMAの紹介ページです。

 ※3:★2年生算数「はこのかたち」の取組み(スマートスクールページ)です。