マチカネ先生塾(第4回)『豊中市を知る② 多文化共生の視点(主に外国人ルーツについて)』(2023/6/17)

第4回のマチカネ先生塾では、豊中市を知る②として「多文化共生の視点(主に外国人ルーツについて)」をテーマとして実施しました。

お迎えした講師は、豊中市国際交流協会の山根 絵美 先生です。

「在日外国人や外国にルーツを持つの方々への理解」について、講義やクイズ、ワークショップを交えながら教えていただきました。

 

自己紹介(在日外国人教育に興味をもったきっかけ)

はじめに、自己紹介の中で、「今の職についたきっかけ」についてお話がありました。

・大学時代にドイツに留学し、在日コリアンとの出会ったこと

・出身地は、人権教育に熱心な場所だったが、在日コリアンのことはなにも知らなかったこと

(日本映画で韓国籍・朝鮮籍という言葉が出てきたが知らなかった)

・必要なことが学べていない教育システムやマイノリティだけが頑張る世界に疑問を抱いたこと

この後、講義やクイズ、ワークショップなど多様な学び方でテーマについて教えていただきました。

 

豊中市の現状

・豊中に暮らす外国人 → 6856人

(コロナの入国制限で減ったが、制限解除で豊中でも1000人増えたこと)

・豊中市でクラス外国人 → 上位10カ国 中国人、韓国人・朝鮮人…そしてベトナム人

<ベトナム人が多い理由>

技能実習で農業・漁業・工業などを学んで帰国する、3~5年で入れ替わり来日する

 

豊中市でもベトナム人の子が増えているそうです。

その他、インド料理店を営むために家族で移住する等、ネパール人の子も多いそうです。

※注意点

アジア諸国は、母国語が英語でないため、英語でのコミュニケーションが取れないこと

 

豊中市クイズより

・日本の婚姻数全体の3.6%(およそ27組に1組)が外国人と結婚であること

そのうち3分の2が、夫が日本人、妻が外国人(中国人、フィリピン人、韓国人)

→先生はお母さんと会うことが多いため、学校教育に大きくかかわってくる

・1984年から両親のどちらかが日本人なら日本国籍は取れるようになったこと

(それまでは、父親が日本人でないと取れなかった)

・外国にルーツを持つ子どもは、30人に1人(約3.7%)の割合であること ※クラスに1人

 

外国人をとりまく3つの壁

◆法制度の壁

 ・出入国管理及び難民認定法(外国人の在留「管理」)

 ・国籍条項(学校の先生になれるが管理職になれない、消防士・警察官になれない等)

 ・義務教育が課せられていない(学校に行っていなくても知りませんということ 日本には2万人いる、就学案内は学校に行きたいと申し出ないと届かない→日本人は何もなくても送られてくる)

 ・職業選択の自由がない(コックさんなど続けられないと帰国するしかない)

 

◆言葉の壁

 情報が得られない(情報格差)

 子どもは日本語を習得していくが、親は話せない…コミュニケーションがうまくいかなくなる

 

◆心の壁

 はなから「わからない」と思われる

 差別・偏見、孤立

 

ヘイト暴力のピラミッド

「何も知らない→おそれ→ヘイトが生まれる」といったヘイト暴力への連鎖(いじめの構造と同じ)があること

マイクロアグレッション

無意識の偏見や差別によって、悪意なく誰かを傷つけることがある事例の説明がありました。

 ・ブラジル人だからサッカー上手いんでしょ

 ・ベトナム人なの?日本人に見えるよ

 ・日本の名前はないの?

 ・在日コリアンでも気にしない、何も変わらない

 ・中国語喋ってみてよ

 ・ハーフってかっこよくて羨ましい(欧米信仰 フィリピンなど入っていない)

 ・外国人なのに〇〇できてすごい

 

これは、悪気がないから許されるのではありません。

自分自身だけでなく、クラスでもアンテナを張っていきたいものです。

 

外国人ママたちの課題

続いて、「外国人ママ」さん達が難しさや大変さを感じることに話題が移りました。

・外国は6−3−3でないところが多いこと

・日本は9年間落第がない、国によっては落第すること

・当たり前が当たり前でない

・そもそも子育てには不安がつきまとう(+α )

・私の子育ての責任+パートナーに否定的なことを言われる

 

[ワーク]何が書いているか考えよう!

タイ語で書かれた手紙をどこまで理解できるでしょうか。

塾生たちは、数字をヒントに内容を推測するなど、どうにか読み取ろうとしていました。

  

学校からは、日々たくさんの手紙が配布されます。

日本語の読み書きが十分ではない家の人は、読むのも一苦労で、大変なストレスや苦労をかけていることを感じました。

また、連絡帳などへの返事なども苦労があると思います。

 

先生からは、「ルーツがあるとバイリンガルはイコールではない」「生活言語と学習言語は内容も獲得までの時間も異なる」等のお話もありました。

生活言語…日常生活でコミュニケーションをする時に使う言葉(獲得に2~3年)

学習言語…教科学習に必要な論理的な言葉(獲得に5~7年)

 

「やさしい日本語」とは?

かつて阪神淡路大震災で、避難行動をとるために必要な言葉(避難・高台・津波など)が理解できず対応が遅れたケースがあったとのことです。

・避難→逃げてください

・いついつ何があります、〇〇を持ってきましょう→短い分にする

・和製英語はわからない・使わない→レジャーシート…敷くもの

 

「やさしい日本語」を考えよう!

◎初めの挨拶…省略する

◎〇〇に行きたいと思います→行きます(「思います」は日本人独特で曖昧・わかりにくい)

◎水筒の中身は何を入れてくるか(外国ではジュース可の場合もあるため)

◎水筒持ってきて→空で持ってくるかも(ニュアンスに注意する)

→先生の言い方で変わる

 

大切にしている3つの視点

  • ピア(繋がれる仲間)
  • ロールモデル(多様な選択肢・2つ以上のロールモデル)
  • 安心な居場所(じっくり話を聞いてもらえる)

→この3つを学校でどれだけ作れるか

最後に・・・

・クレームをいう人はその人自身が困っていること

・「何かあったら言ってね」と伝えても、言う力すらない人もいること

等、たくさんの心に響くお話がありました。

 

あたりまえを問い直す力を「アンラーン(Unlearn)」と呼ぶそうです。

近い将来、マチカネ塾生が学校で働くとき、「違いを豊かさに」変えられる先生になってもらえればと思います。