むかし、浜のあたりはタヌキがたくさん住んでいて西瓜畑を荒されたり、お供えや店のものを盗まれたり、いたずらが多くて困ったそうです。あんまり悪さがひどいので、村の人がつかまえては天竺川の雑木林の中に追いはらいました。そしてそこに、「山の神」と刻んだ石の塚を建てておきました。すると山の神さまを恐れたのか、タヌキのいたずらもなくなったので、よろこんだ村の人達はその前を通るたびにお金を供えていくようになったそうです。この塚は「たぬき石」とも呼ばれて吹田街道の工事のために取りのけられて、今は今西さんの庭に置かれています。

タヌキの中には、村の人にかわいがられた心あたたまる話もあります。このタヌキは「ばっちょさん」とよばれていましたが、ばけるのは得意ではなく、よくしっぽをだして村の人に見破られては、ほらあなの中で小さくなっていたそうです。

それでもおまつりにはばっちょさんをよんで、お酒やごちそうをふるまってやったり、村の人気者だったそうです。またこのタヌキが宿がえする時には村中の人がちょうちんに灯をともして、行列をつくって見送ったということです。

そののち、タヌキが死んだので、また村の人が集まって「八郎左衛門」というりっぱな名前をおくり、お墓をつくりました。今でもお墓のある落合さんの家で、毎朝お供えをされているのを見た人もたくさんいることでしょう。