豊島北小学校 いじめ防止基本方針

豊中市立豊島北小学校

2023.5.30修正

 

第1章 いじめ防止に関する本校の考え方

1 基本理念

 子どもは、生まれながらにして、一人ひとりが個性ある人格をもったかけがえのない存在であり、権利の主体として、いかなる差別も受けることなく、その尊厳が重んじられ、人権が尊重されなければならない。特に、安心して生きること、あらゆる暴力や虐待、いじめなどから守られること、自分らしく育つこと、自分の思いや意見を表明できることが大切にされなければない。

 いじめは、その子どもの将来にわたって内面を深く傷つけるものであり、子どもの健全な成長に影響を及ぼす、まさに人権に関わる重大な問題である。全教職員が、いじめはもちろん、いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為も絶対に許さない姿勢で、どんな些細なことでも必ず親身になって相談に応じることが大切である。そのことが、いじめ事象の発生・深刻化を防ぎ、いじめを許さない児童生徒の意識を育成することになる。

 そのためには、学校として教育活動の全てにおいて生命や人権を大切にする精神を貫くことや、教職員自身が、児童生徒を一人ひとり多様な個性を持つかけがえのない存在として尊重し、児童生徒の人格の健やかな発達を支援するという児童観、指導観に立ち指導を徹底することが重要となる。

 本校では、「人間尊重の精神を基盤として、創造性豊かで心身ともに健やかな調和のとれた子どもを育成する」を教育目標とし、笑顔溢れる学校を創造するために、学力保障と人権教育を教育の両軸として、日々の教育活動に取り組んでいる。特に本校では、あらゆる教育活動に自尊感情を高める視点を持ってあたっており、改めていじめは重大な人権侵害事象であるという認識のもとに、ここに豊島北小学校いじめ防止基本方針を定める。

 

2 いじめの定義

「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。

具体的ないじめの態様は,以下のようなものがある。

➢冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる

➢仲間はずれ,集団による無視をされる

➢軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする

➢ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする

➢金品をたかられる

➢金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする

➢嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする

➢パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる 等

 

3 いじめ防止のための組織

 (1)名称 TSC委員会

 (2)構成員

 TSC委員会…校長、教頭、各学年のTSC委員、養護教諭(必要に応じて)スクールソーシャルワーカー(以下 SSW)    

     全体会………全教職員

   (3)役割

            ア 学校いじめ防止基本方針の策定

           イ いじめの未然防止

           ウ いじめの対応

           エ 教職員の資質向上のための校内研修

           オ 年間計画の企画と実施

           カ 年間計画進捗のチェック

           キ 各取組の有効性の検証

           ク 学校いじめ防止基本方針の見直し

  (4)委員会はが、TSC委員会代表が招集し、委員会の進行及び統括を行う

    4 年間計画(別添1)

    5 取組状況の把握と検証(PDCA)

 ・TSC委員は、学年会の児童交流で上がった児童の情報を学年交流ファイルに入力する。

 ・TSC委員会で、各学年の気になる児童の情報を共有し、見立てや手立てを検討する。

 ・SSW来校日に、必要に応じてケース会議を行う。ケース会議後、職員朝会等で、会議の概要を報告する。

 ・3~4週間に1回程度、木曜日に全職員でケース会議以外の気になる児童について短く交流する。

 ・学期に1回TSC全体会を開催し、すべての気になる児童の情報と顔写真の交流を行う。

 ・TSC委員会で、このいじめ防止基本方針について見直しを加えていく。

 ※緊急の場合は、随時必要な対応を行う。

 

第2章 いじめ防止

1 基本的な考え方

 いじめの未然防止にあたっては、教育・学習の場である学校・学級自体が、人権尊重が徹底し、人権尊重の精神がみなぎっている環境であることが求められる。そのことを基盤として、人権に関する知的理解及び人権感覚を育む学習活動を各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じ、総合的に推進する必要がある。

 特に、児童が他者の痛みや感情を共感的に受容するための想像力や感受性を身につけ、対等で豊かな人間関係を築くための具体的なプログラムを作成する必要がある。そして、その取組みの中で、当事者同士の信頼ある人間関係づくりや人権を尊重した集団としての質を高めていくことが必要である。

 そのために「TSC委員会」を機能させ、いじめの未然防止に向けた取り組みを検討し、全教職員が一致して取り組んでいく。その際、人権教育部会とも連携し、いじめは重大な人権侵害であるとの認識のもと、学年に応じたプログラムを作成し取組を進める。取り組んだ内容については、研究会等において全教職員で検証を進める。

                

 

2 いじめの防止のための措置

 (1)平素からいじめについての共通理解を図るため、教職員に対してはいじめに対するとらえ方や未然防止の方法、いじめ事案が発生した時の対応方法についての研修を行う。児童に対しては、「いじめは絶対に許さない」という強い姿勢で臨むとともに、いじめをしない、させない、許さない学級集団づくりを行う。

 (2)いじめに向かわない態度・能力を育成するために、自他の存在を認め合い、尊重し合える態度を養うことや、児童が円滑に他者とコミュニケーションを図る能力を育てることが必要である。そのために、互いの個性・持ち味を尊重するような場面や、一人ひとりの成長を認め合うような場面等、児童同士がコミュニケーションを図る場面を特別活動や総合的な学習の時間、生活科、学校行事等で積極的につくる。

 (3)いじめが生まれる背景を踏まえ、指導上の注意としては、児童の様子を細かく観察し、状況をつかんで、教育活動を改善していくことが必要である。

    ・分かりやすい授業づくりを進めるために、教科教育部会を中心に「わかる授業」をめざし、授業研究、全体研究会を行い、研鑽に努める。

 ・児童一人ひとりが活躍できる集団づくりを進めるために、まずは教職員が子どもたちとの信頼関係を築く。その上で、一人ひとりが自らの良さを発揮しながら安心して過ごせる学級集団づくりを進める。

 ・ストレスに適切に対処する力を育むために教育相談やSSW等によるカウンセリングに努める。

 ・いじめを助長するような教職員の不適切な認識や言動等、指導の在り方に注意を払うため、互いに授業参観し、助言しあえるような職場環境・人間関係をつくる。教職員の不適切な言動等がないように、校内研修を行う。

(4)自己有用感や自己肯定感を育む取組みとして、人権教育部会において、人権教育の視点を大切にした年間カリキュラムを作成する。授業においても、一人ひとりが活躍する場面を取り入れるなど、日々の授業での活動を考え、実践する。また、委員会活動等の児童会活動や学校行事においても、自己有用感や自己肯定感が育まれるように努める。

(5)児童が自らいじめについて学び、取り組む方法として、道徳の時間や人権・総合的な学習の時間を通して学ぶ機会を作っていく。

 

  第3章 早期発見

 1 基本的な考え方

  いじめの特性として、いじめにあっている児童がいじめを認めることを恥ずかしいと考えたり、いじめの拡大を恐れたりするあまり訴えることができないことが多い。また、自分の思いをうまく伝えたり、訴えたりすることが難しいなどの状況にある児童が、いじめにあっている場合は、隠匿性が高くなり、いじめが長期化、深刻化することがある。

  それゆえ、教職員には、何気ない言動の中に心の訴えを感じ取る鋭い感性、隠れているいじめの構図に気づく深い洞察力、よりよい集団にしていこうとする熱い行動力が求められている。  

   ○児童が示す小さな変化や危険信号を見逃さないこと

 「いじめは小さな出来事から始まる」ということを念頭に置き、日ごろから児童の様子を注意深く観察することが大切であり、小さな変化を見逃さない感性を養っていくことが求められる。特に、多くの時間を児童と過ごす学級担任が、児童が発する小さなサインを見逃さないことがいじめにいたる芽を摘むことにつながる。しかし、担任だけで多くの児童を観察することは、困難である。そのため、全教職員が児童の様子に目を配り、児童が発するサインを見逃さないようにする意識を持つことが必要である。

○教職員が積極的に児童の情報交換を行い、情報を共有すること

 いじめにつながる芽を小さいうちに摘むためにも、「クラスのこと」と囲い込んでしまわず、気になる児童の様子を学年会や職員朝会、TSC委員会等で積極的に発信することが大切である。情報を発信し、共有することによって、情報量が増え、解決策も提示される。また、多くの教職員がさまざまな形でかかわることによって、児童の思いを受け止める人も増える。

2 いじめの早期発見のための措置

 (1)実態把握の方法として、定期的なアンケート「気持ちアンケート」を学期に1回をめどに行う。アンケートの内容に気になることが書かれていた場合は、聞き取りを行い、実態把握に努める。また、「ともだち関係図」なども活用する。

   教育相談としては、SSWや校区中学校に配置されているスクールカウンセラー(以下SC)等も活用する。日常の観察として、朝の健康観察を始め、授業時間、休憩時間等の児童の様子に気を配る。

  (2)保護者と連携して児童を見守るため、家庭訪問や個人懇談において、児童の家庭環境や家庭での様子を把握し、学校での様子や言動から気になることや変化があった場合は保護者と連絡を取り合うようにする。また、保護者から児童の家庭での情報について連絡してもらえるように、日ごろから連絡を密にし、良好な関係を結ぶようにする。

  (3)児童、その保護者、教職員が、抵抗なくいじめに関して相談できる体制として、児童、保護者に関しては、基本的には担任が第一相談者となる。しかし、担任だけではなく、養護教諭や児童生徒支援加配、管理職等誰にでも安心して相談しやすい体制を整える。教職員に関しては、TSC委員会等の場だけではなく、同僚や管理職への相談がしやすい職員室づくりが不可欠である。場合により、ケース会議等を早期に開き、未然防止に努める。また、専門的なアドバイスをもらうためにも、SSWやSC、市の教育相談等を活用する。いずれの場合も学校として、情報を共有し対応できるように努めていく。

  (4)保護者配布のプリント、学校ホームページ等により、相談体制を広く周知する。TSC委員会により、適切に機能しているかなど、定期的に体制を点検する。

 (5)教育相談等で得た児童の個人情報については、その対外的な取扱いについて、慎重に取り扱い、外部に情報が漏れることのないようにする。

 

第4章 いじめに対する措置

 1 基本的な考え方

   いじめにあった児童のケアが最も重要であるのは当然であるが、いじめ行為に及んだ児童の原因・背景を把握し指導に当たることが、再発防止に大切なことである。近年の事象を見るとき、いじめた児童自身が深刻な課題を有している場合が多く、相手の痛みを感じたり、行為の悪質さを自覚したりすることが困難な状況にある場合がある。よって、いじめた当事者が自分の行為の重大さを認識し、心から悔い、相手に謝罪する気持ちに至るような継続的な指導が必要である。いじめを受けた当事者は、仲間からの励ましや教職員や保護者等の支援、そして何より相手の自己変革する姿に、人間的信頼回復のきっかけをつかむことができると考える。そのような、事象に関係した児童同士が、豊かな人間関係の再構築をする営みを通じて、事象の教訓化を行い教育課題へと高めることが大切である。

   2 いじめ発見・通報を受けたときの対応

(1)いじめの疑いがある場合、ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わる。遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止め、また、児童や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。その際、いじめられた児童やいじめを知らせてきた児童の安全を確保するよう配慮する。

  (2)教職員は一人で抱え込まず、速やかに生活指導担当者や管理職等に報告し、「TSC委員会」と情報を共有する。その後は、当該組織が中心となって、速やかに関係児童から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。

 (3)事実確認の結果、いじめが認知された場合、管理職が教育委員会に報告し、相談する。

  (4)被害・加害の保護者への連絡については、家庭訪問等により直接会って、より丁寧に行う。

 (5)いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認められるときは、いじめられている児童を徹底して守り通すという観点から、教育委員会や関係機関等と相談し、対応方針を検討する。なお、児童の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。

 

3 いじめられた児童又はその保護者への支援

   いじめられた児童が落ち着いて教育を受けられる環境を確保し、いじめられた児童に寄り添い支える体制をつくる。その際いじめられた児童にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、状況に応じて、SSWやSC等の協力を得て対応を行う。

  4 いじめた児童への指導又はその保護者への助言

  (1)速やかにいじめを止めさせた上で、いじめたとされる児童からも事実関係の聴取を行う。いじめに関わったとされる児童からの聴取にあたっては、個別に行うなどの配慮をする。

   (2)事実関係を聴取した後は、迅速にいじめた児童の保護者と連携し、協力を求めるとともに、継続的な助言を行う。

    (3)いじめた児童への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。なお、いじめた児童が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、当該児童の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。その指導にあたり、学校は、複数の教職員が連携し、必要に応じてSSWやSC等の協力を得て、組織的に、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。

    5 いじめが起きた集団への働きかけ

(1) いじめを見ていたり、同調していたりした児童に対しても、自分の問題として捉えさせる。そのため、まず、いじめに関わった児童に対しては、正確に事実を確認するとともに、いじめを受けた者の立場になって、そのつらさや悔しさについて考えさせ、相手の心の悩みへの共感性を育てることを通じて、行動の変容につなげる。また、同調していたりはやし立てたりしていた「観衆」、見て見ぬふりをしていた「傍観者」として行動していた児童に対しても、そうした行為がいじめを受けている児童にとっては、いじめによる苦痛だけでなく、孤独感・孤立感を強める存在であることを理解させるようにする。

 「観衆」や「傍観者」の児童は、いつ自分が被害を受けるかもしれないという不安を持っていることが考えられることから、すべての教職員が「いじめは絶対に許さない」「いじめを見聞きしたら、必ず先生に知らせることがいじめをなくすことにつながる」ということを児童に徹底して伝える。

(2) いじめが認知された際、被害・加害の児童たちだけの問題とせず、学校の課題として解決を図る。全ての児童が、互いを尊重し、認め合う集団づくりを進めるため、担任が中心となって児童一人ひとりの大切さを自覚して学級経営するとともに、すべての教職員が支援し、児童が他者と関わる中で、自らのよさを発揮しながら学校生活を安心してすごせるよう努める。そのため、認知されたいじめ事象について地域や家庭等の背景を理解し、学校における人権教育の課題とつなげることにより教訓化するとともに、いじめに関わった児童の指導を通して、その背景や課題を分析し、これまでの児童への対応のあり方を見直す。その上で、人権尊重の観点に立ち、授業や学級活動を活用し、児童のエンパワメントを図る。その際、SSWやSC等とも連携する。運動会や宿泊行事、校外学習等は児童が、人間関係づくりを学ぶ絶好の機会ととらえ、児童が、意見が異なる他者とも良好な人間関係を作っていくことができるよう適切に支援する。

 6 ネット上のいじめへの対応

(1)ネット上の不適切な書き込み等があった場合、まず学校として、問題の箇所を確認し、その箇所を印刷・保存するとともに、「TSC委員会」において対応を協議し、関係児童からの聞き取り等の調査、児童が被害にあった場合のケア等必要な措置を講ずる。

 (2)書き込みへの対応については、削除要請等、被害にあった児童の意向を尊重するとともに、当該児童・保護者の精神的ケアに努める。また、書き込みの削除や書き込んだ者への対応については、必要に応じて、大阪法務局人権擁護部や所轄警察署等、外部機関と連携して対応する。

 (3)また、教科、道徳、総合的な学習の時間等を通じて、情報モラルに関する学習をすすめる。

 7 その他のいじめへの対応

  支援学級在籍児童、東日本大震災(放射線被ばく)関係者、新型コロナウイルス感染症罹患者、国際問題(北朝鮮・ロシア)関係者、外国にルーツを持つ児童・保護者等へのいじめについても、正しい認識を持ち、相手の心情を考えて対応できるよう、人権教育部とともに指導を進める。 

   別添資料  年間計画

学期

活   動   内   容

 

TSC委員会(年間活動計画)

 

・学年会で情報収集

・毎週木曜日、SSWと情報共有

 

・ケース会議(随時)

 ケース会議の次週、職朝で報告

 

・3~4週間に1回程度 

木曜日16:45~17:00に全職員で、ケース会議以外の気になる児童について情報交流

いじめ基本方針(案)の提案・TSC委員会

TSC委員会

TSC委員会・TSC全体会

 

 

TSC委員会

TSC全体会

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TSC委員会

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TSC委員会

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TSC委員会・TSC全体会

 

TSC委員会

TSC全体会

TSC全体会(まとめ・振り返り・次年度への申し送り)