秋の深まりとともに高等学校の渉外の方が、次年度の入試についての説明に中学校を回ってこられます。

特に私立高校は、この先も生徒数が減り続けていくので生き残りをかけて学校の特色を出すのに必死です。

今日お見えになったのは他県の有名な進学校で、その学校に長く勤められている教頭先生でした。

生徒の自主性を重んじながらも「結果」を残すことで昔から有名なその高校のエピソードを聞かせていただきました。

夏休みに宿題を出そうものなら、「課題や弱点は個人個人で異なるのだから画一的に宿題を出されるのは困る」と生徒から筋の通った苦情が来ていたそうです。伝統的に自立した生徒が育っており、放任ともいえるその校風の中で育つ自主性を自負されてました。

しかしながら、同じ県内に懇切丁寧でサービスの行き届いた高校が進学実績を上げてきたのでこれまでとは方針を転換せざるを得なくなったと仰っていました。自主性が育っているから卒業後、大学に入ってからも伸びるんだと叫んでも、「不親切」「サービス不足」では生徒が集まらないご時世。こうした風潮を嘆いておられました。

 

「懇切丁寧」「行き届いたサービス」が「善」であるという風潮は年々高まっています。

「便利さ」が「生きる力」をスポイルしているように感じている人は少なくありません。

入社式に保護者が招待される会社がいい会社、安心できる職場。上司の言動に保護者が電話で抗議してくることも珍しくない。そんなニュースを見聞きすると、20年後の日本はどうなっているのかなぁと思いを馳せてしまうのでした。