先生の研修3 美人と美神    

千里 九「前回18号は作文じゃった。作文に不可欠なのがボキャブラリーじゃ!ボキャブラリーとは日本語に訳すとゴ○ンジャーじゃなく「語彙(ごい)」じゃー。彙は「集まり」という意味だから、知ってる言葉が豊富(ほうふ)だということ。知ってる言葉が豊富だと人生が楽しくなる!!」

 

 辞典2

辞書を引く(写真1)

美神を調べる(写真2)

辞典4  辞典と友達になろう!  

make friends with dictionary

 国語の先生は、いつも辞典とお友達です。国語辞典をめくっていたら「美人」という語句が目に飛び込んできました。美人ー顔かたちの美しい女「えー、私のことかしら?心も美しいんだけど」とめくるページをとめました。(写真1)美人の隣の隣には、美神がおられました。美神ー①美の神 ②ビーナス(写真2)美人よりgoodな表現に使えるかな。これが、語彙(ごい)が増えるということです。

 今回は先生達の研修シリーズその3「辞典は友だち」。講師は三省堂で25年間、編集に関わってこられた瀧本先生です。国語の先生が、どんなことを学んでこられたかを紹介します。

 三省堂の大辞林は28年 言葉との付き合いは一生続きます。辞典を引くのが面倒くさいという人がいるかもしれませんね。でも辞典は、友達になることで色んなことを教えてくれる素敵な書物だ、と気づかせてくれます。映画「舟を編む」原作は三浦しをんさんですが、その映画のシーンで上司の加藤剛さんが「君ねえ、三省堂の大辞林は完成するのに28年かかっているんだぞ」と密(ひそ)かに部下を励ます場面があります。ええ?一冊の本を出すのに28年もかかった?なんでそんなにかかるんだ、誰もが思うでしょ。実は出版社では、次の改訂版を出すために用例カードを150万枚も用意されています。辞典というのはその時代の言葉の記録です。どこをどう改訂するのか、そのための編集会議を何度も延々と繰り返している・・・とほうもない歳月を費やしてつくられているのです。

 たとえばフルーツの「グァバ」。「グァバ」という項目を説明するのに、外見、形だけを説明するだけではなくて実際食べてみる。新しい辞典では、その味わいまでを説明し「味は薄い」と締めくくっています。そうだったんだと語句の意味がわかる。わかると楽しい。では、ハス、バス、パスはどの順番で掲載されているか?ハス、バス、パスの順です。くらす、クラスは?ひらがなが先です。知ってればちょっと引くのが速くなります。

複数の辞典で引き比べてみる。 語釈(言葉の意味)の違いを複数の辞典で引き比べてみるのも楽しい。知りたいことを自分で引くプロセスが楽しくなります。

マイ辞典を持つ。自由に、いつでもどこでも引ける環境が重要です。で、どんな辞典を買えばいいですかと聞かれることがあるのですが、辞典は年齢別に何回も買い替えてほしい。

 辞典というのは、その時代の記録にもなっています。常に新しく出てきた語や、用法に向き合って言葉に関して知りたいという、要求に応えられる辞書でありたいために、瀧本先生は、改訂に力を注いでこられています。

国語科教諭「最近は、言葉を調べるのに電子辞書が本当に便利ですが、一定の年齢までは、紙の辞典が良いです。指先を使ってページをめくることは、脳にもいい。電子辞書は、紙の辞典の引き方のプロセスがわかるようになってから使うようにしましょう。国語辞典で調べて書く。辞典と友達になることで語彙力が自然と増え作文力のある美神になれます。」

国語辞典に親しむことで、会話がカラフルになります。

 国語美人 N